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唐津焼 王天家窯二代目の日記です。非常に低血圧で朝起きれません。それでもめげずに頑張って作淘しています。とてもきまぐれな性格なので時々しかアップしないかもしれないけど応援よろしくお願いします!


by f92q
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その男(美容師) FINAL

その男(美容師)がいなくなる

数日前 美容室から帰ってきた母はその男(美容師)が美容室
をやめることを僕に伝えた 
そして その男(美容師)はやめるからぜひ最後に一度僕に
来店してほしいといってるらしい

これは大変だと早速 その男(美容師)の美容院に直行
いた! あの男がいた 相変わらずイスに座って生意気にカッティングしている

店は上々に繁盛 その男(美容師)は今のところ手一杯だ
もう一人の若造見習い美容師が僕の髪をカットしようかとチラ見している
これはいかん 君みたいな若造にこの痛んだ髪をカットする資格はない
っていうかその男(美容師)の最後のカッティングになるかもしれないし

カットの番になった 
早速その男(美容師)に質問をぶつけた
「この店やめるんですか?」

その男(美容師)は照れながらこう言った
「ヘッドハンティングだよ」

 
「ヘッドハンティング?」
 

「つまり引き抜きだよ 知り合いの美容室の社長からの引き抜きさ
 こんどの職場は家からかなり近いし 保険の待遇もいいんだ」

ヘッドハンティングなんてアメリカンナイズされた言葉がその男(美容師)
の口から出てきたのはかなり面喰った たしかにその男(美容師)は
腕はかなりたつ 子連れ狼とか流れ料理人とか 腕一本で
世の中を渡っていく男を描いた物語は多々あるが現実に見るのははじめてだ
しかし技術はもとよりかれの人間性とかなんとか その他もろもろを社長
は見抜いてるんだろうか

最後なのか その男(美容師)はかなり念入りにカットしてくれている
いつもは手抜き気味のシャンプーもきっちりやってくれた
やはり最後もナチュラルに仕上げてくれた

「また会えますか?」僕は聞いた

「3月までこの店で働くことになってるんだよ でも有休とか 子供の卒業式
 とかで3月はほとんどいないと思う だからこれで 最後になると思う」

 店を出てしばらく歩いていると 後ろからその男(美容師)が走ってきた
 ほとんど残量0に近い桃の天然水を走って持ってきてくれた

 「忘れ物だよ」汚い笑顔でその男(美容師)が僕に微笑んだ
  僕も 汚い笑顔でその男(美容師)を微笑み返した


 
その男(美容師) FINAL_e0216090_22554386.jpg
 
 

by f92q | 2014-03-04 22:59